RECORD DAY SPECIAL INTERVIEW 2025 BAND-MAID


BAND-MAID
全米ツアー動員二万人超、世界的人気のガールズバンド。メイドの見た目とは相反するハードなロックサウンドが全世界のファンやメディアから支持を得ており、YouTubeの奏再生回数は2億3000万回を超える。
実家でみつけたお宝アイテムの話から、海外ツアー中の逸話まで。
世界を舞台に活躍する日本随一のガールズ・バンドによる
思い出と思い入れがたっぷり詰まったレコード・トーク。
取材・文:増田勇一 写真:平間 至
── 「レコードの日」については皆さんご存知でしたか?
小鳩ミク:もちろんですっぽ。以前にも「レコードの日」に合わせてレコードをリリースしたりしてきたので、前々から親しみはありましたっぽ。今回はアンバサダーを務めさせていただくことになって、正直びっくりしていますっぽね。これまで経験したことのないことですけれど、音楽に関連することでこうしてご指名をいただけたことは素直に嬉しく思っていますっぽ。
SAIKI:私たち自身もレコードが好きなので、普通に嬉しいですね(笑)。
KANAMI:レコードってずっと昔からあるものだし、今回こうしてご指名を受けたのはとても光栄なことだよねって、みんなで話していたんです。
── 皆さん普段からレコードに親しんでいるということですか?
KANAMI:私は朝の時間帯に聴くことが多いですね。もちろん夜も聴くんですけど(笑)。レコードって、ハイレゾとかCDの音源とはちょっと違った帯域の音が聴けるじゃないですか。たとえばオーケストラの音源を聴いていると、その場にいるような臨場感を味わえますし。だから耳のためにもいいし、昔からあるいいものを自分の中にインプットしておくためにも、なるべくレコードを聴きたいなって意識しているところはあります。あと、それとは関係なくスクラッチとかして遊ぶのも好きだったりするので(笑)。
AKANE:私はちょっとDJをやらせてもらったことがあって。すごく難しかったけどいろいろと勉強になりましたね。テンポ感とか、音の繋がりとか。レコードって実はすごく繊細なものだから、ちょっとした力の入れ方次第で不快な音になってしまったりもするし、やっぱりすごく技術の要ることなんだな、と思い知らされました。あと、昔、ミュージックバーで働いていたときにはお店にたくさんレコードがあったので、お客さんからのリクエストに応えてかけたりすることもあったので、そんな思い出とも繋がってるんです。レコードって、ジャケットも素敵じゃないですか。コレクションして飾るだけでもお洒落な感じになりますし。
MISA:私は、お酒を飲みながら聴いたりすることが多いですね(笑)。やっぱり、レコードならではの味があるじゃないですか。針を落とした時の音とかが、本当に気持ちいい。レコード自体、そんなにたくさん持っているわけじゃないんですけど、中古盤を漁ったりもしながら、好きなものだけを集めているんです。ELO、マイケル・ジャクソンとかマーヴィン・ゲイのレコードを何枚か一気に買い揃えてみたり。最近は、CDはほとんど手元には置いてなくて、もっぱらレコードばかり聴いてますね。
小鳩ミク:小さい頃、祖父の家にステレオと古いレコードが結構あったんですっぽね。それで、小学生ぐらいのときに「これは何?」と訊いて。当時の私にとっては見たことのないものだったし、多分おもちゃか何かだと思っていたんですけどっぽ(笑)。祖父に「これはレコードといって昔からあるものなんだ」と教わって、実際に聴かせてもらって。その時、昔の音がそのまま再現されるっていうことにすごく感動したんですっぽ。だからレコードについては当時から「古き良きもの」として思い入れがありますっぽね。今では自分の部屋に可愛いコンパクトなレコードプレーヤーを持っていて、寛ぎたい気分の時なんかによく聴いてますっぽね。思い出に浸りたい時とかも。
── SAIKIさんはどうですか?
SAIKI:さっきKANAMIも言ってましたけど、私も意識的にレコードで音楽を聴くようにしているところがありますね。たとえば昔の音楽を聴こうと思った時に、PCやスマホを使ってサブスクで聴くこともできるじゃないですか。でも、なんか物足りないな、と感じさせられることがあって。細かく聴き比べみたいなことをするわけじゃないんですけど、「やっぱりホンモノはこんなに聴こえ方が違うんだ」みたいに思わされることもありますし。しかも最近、自宅のスピーカーを変えたんですよ、ちゃんとレコード用のものに。それによってリスニング環境がさらに良くなったので、今、レコードを聴くのが楽しいんです。「私、耳が肥えてきてるんじゃないの?」とか思いながら楽しんでますね(笑)。
KANAMI:絶対、耳が良くなってると思う。あと私、父のお古のレコードがたくさんあって。以前、実家に帰った際にレコードがいっぱいあることに気が付いたんです。ただ、実家のオーディオは壊れたままで聴けない状態なので、遠慮なくいろいろもらってきたんですけど、なかにはBEATLESのシングルが10枚ぐらい入ったパックとかもあって。ただ、取り出してみたらホコリがあまりにもすごかったから、歯ブラシみたいなクリーナーで全部綺麗にしたりもしました。その時にレコードってすごく繊細なものなんだな、と気付かされたんです。しかも何十年も前のものでも、綺麗に手入れすれば今でもちゃんと聴くことができる。それって素敵なことだな、と思って。
小鳩ミク:そうやって手入れとかをすることによって、思い入れも強まりますっぽね。
SAIKI:確かに。あと、目上の方、まさしくレコードを聴いて育った世代の方とかにお会いした時に「レコード好きなんです」って言うと、喜んでくださるというか「いいよ、これ持っていきな」とか言っていただけることもあって。しかも「いいんですか?」って、持って帰ってよくよく見てみたら、結構ガチなヴィンテージだったりするんです。
KANAMI:海外ツアーのときに、ご主人様・お嬢様(ファンの呼称)からいただくことも多いんです。プレゼントボックスに、それぞれの好きなバンドのレコードが入っていたりとか。
MISA:結構いろいろいただけて、すごくありがたいですね。
AKANE:私はエルトン・ジョンのレコードをいただいたことがありました。そういえば、THE WARNING(=メキシコ出身の三姉妹バンド)と一緒にやった時(昨年ステージで共演した他、両バンドで“SHOW THEM”を共作リリースしている)、彼女たちがレコードをくれたんですよ。しかもメッセージを添えて。
SAIKI:そうそう、あれはすごく嬉しかった。今度は私たちのレコードを渡さないと。
── そうやってバンド同士の交流が続いていくのも素敵ですね。ところで最近は「サブスクで試聴して、本当に気に入ったものはレコードで買う」という人も多いはずだと思うんです。
SAIKI:自分たちでもまさにそれをやっていますね。実際、BAND-MAIDを気に入ってくださってる方々の中にもそういう訊き方をしている方は多いはずで。だから今回、「レコードの日」に合わせて3作品リリースできるというのは自分たちにとっても嬉しいことですし、その情報が解禁になった時の、皆さんの歓びの声もすごかったんです。「待ってました!」みたいな(笑)。
── 実際、今回リリースされる各アイテム(の見本)を今日は実際に手にしているわけですが、感触はいかがですか?
小鳩ミク:すごく嬉しいですっぽ。まずジャケットがこの大きさになることで、ディテールもいっそうハッキリしてきてそれぞれの良さが増してきますし、まさに飾りたくなるものに仕上がっていると思いますっぽ。
SAIKI:しかも今回はカラー・ヴィニールで、各作品のジャケットに合わせてそれぞれ違う色になっているんです。これもずっとやりたかったことのひとつだったんですね。前回レコードを出した時には黒い盤でしか出せなかったので、それが叶ったのもすごく嬉しい。実は私、カラーのレコードが好きなんです。透明のパッケージとかもあるじゃないですか。ああいうのをよく集めているんです。今回、色を決めるにあたっていろいろと見本を見せてもらったんですけど、たとえば同じ青でもすごくたくさん種類があって、そんなことにも驚かされました。
── アルバム・カヴァーについてはいつもSAIKIさんが主導する形でデザインの方向性を決めていますよね? それについて考える時は、まずCDサイズで発想しているんですか?
SAIKI:アルバムなのかシングルなのかにもよるんですけど、アルバムの場合、私たちは複数のパターンで出すことが多いので、まずは初回生産限定盤をどんな仕様にしたいかというところから考えて、そのうえでアイディアを膨らませていって……そこから通常盤とか各仕様に合わせてトリミングしていったりする感じですね。ただ、やっぱりこのLPのサイズになると、いいですよね。なにしろ私、こだわりの女じゃないですか(笑)。今もこうして現物を見ながら、こだわって良かったなって思ってます。
── 正直なところ、今日は皆さんがレコードというものに思い入れを抱いているかどうかわからないまま話を聞き始めたんですが、想像していた以上に“レコード愛”みたいなものが伝わってきて、こちらまで嬉しくなります。レコードショップに足を運んだりするのも好きですか?
AKANE:はい。そういえば私たち、初めて海外でお給仕(ライヴ)をやったのはアメリカのシアトルでのことだったんですけど、その際も現地のレコード・ショップに行ったくらいなんです。その時の様子は映像でも収録されていて、私たちのMVにもなっていて。あの時もすごく楽しかった。
SAIKI:いい思い出になってますね、あの時のことは。私、そこでLED ZEPPELINのレコードを買ったんです。シアトルの有名なマーケットの中にあるお店だったんです。お店自体は結構狭いんだけど……
小鳩ミク:狭いのにものすごい量のレコードがあって、「その奥にも、この下にもあるの?」という感じでしたっぽ。「これ、ホントに見ていいんですか?」みたいな。
SAIKI:その時期、日本では今ほどレコード熱が高まっていなくて、お店も減りつつあった頃だったこともあって、シアトルでそのお店に足を踏み入れた時はもう大興奮でした。
── 確かに海外ツアーの時などはレコード・ショップ巡りなども楽しみやすそうですよね。日本にいる時は、5人揃ってお店に行ったりしたら目立ってしまうだろうけども。
SAIKI:いや、衣装じゃなければ大丈夫(笑)。TOWER RECORDS渋谷店のレコード・フロアとかだったら全然バレないんじゃないかな(笑)。
小鳩ミク:でも実際、街を歩いていてレコード・ショップを見つけたりすると、ちょっと入ってみたくなりますっぽ。
SAIKI:うん。ただ、あんまりお洒落すぎる感じのお店だと、ちょっと気後れしちゃうところはありますね。どんなレコードを選ぶのか、お店の人に試されている気がしてしまうというか。
KANAMI:確かに。だから古くからあるようなお店が私は入りやすいですね。
── レコードって一度は廃れたものじゃないですか。しかし今では工場での生産が追い付かないくらいの状況になっていたりするわけです。そういった時代の流れについてはどう感じますか?
SAIKI:昔からあるものが、また大切にされるようになっているのは、なんか嬉しいですよね。音楽に携わっている身としても。新しいものが次々と出てきて、それをどんどん取り入れていくのももちろん素敵なことなんですけど、昔のものをなかったものにするというのはちょっと違うと思いますし。実際問題、本当に工場が混んでしまって待たないとならなくなるのは困るんですけど(笑)、こういったブームみたいな流れというのは嬉しいことだなと思うし、このままもっともっと盛り上がって欲しいですね。その結果、工場が増えたりしたらいいのにな、と思います(笑)。
── ええ。ところでさきほどの話だと、皆さんレコードを聴くのは寛ぎたい時、リラックスしたい時などのようですが、たとえばLPの場合、20分程度で片面が終わってしまうから、そこで裏返さなければならないじゃないですか。そういったことを煩わしく感じたりはしませんか?
SAIKI:私はそのLP片面の20分ぐらいという長さをちょうど良く感じていて。そこでいったん終わって、切り替えになる感じ。「これからテンション上げていくぞ!」という時もあれば「ここで一度寝ることにします」ということもあったり(笑)。
AKANE:音楽ストリーミングなどで流しっぱなしにしていると、区切りがないじゃないですか。レコードみたいに終わりがあるのがいいんですよね。
小鳩ミク:確かに。片面が終わったところで、その余韻も楽しめると思いますっぽね。
SAIKI:音が鳴ってない時の良さがありますよね。そこにも美学みたいなものを感じます。
小鳩ミク:それに最近は、コンパクトで便利な再生機もどんどん出てきているじゃないですか。機械でレコードを挟むようなものもありますっぽね。大きなシステムじゃなく、持ち運びできるような小さなものもどんどん出てきているんで、より気軽にレコードを楽しめるようになってきていると思いますっぽ。
AKANE:そう。だから、新たにレコード習慣を始めやすくなってますよね。
KANAMI:スピーカー内蔵のものも便利ですよね。しかも最近は「こんなに安いの?」ってくらい手頃な価格のレコードプレーヤーも出ているし、USBやBluetoothと繋げられたりするのも当たり前になっていて、なんだかビックリしちゃう。
── なんだか話が通販番組みたいな展開になってきました(笑)。しかしそうやってハードが改良に改良を重ねて便利になっていく一方、レコードのあり方自体は変わらない。BAND-MAIDにも、進化を重ねつつ、芯の部分は変わらぬまま歩み続けて欲しいものです。
小鳩ミク:話が繋がりましたっぽね(笑)。でも、本当にそう思っていますっぽ。それに今回リリースされるレコードについても、CDや音楽ストリーミングで聴き慣れているはずのものが違った感覚で楽しめるはずですし、そういうのも音楽のいいところだと思いますっぽ。
SAIKI:そう、聴き比べとか、絶対楽しいだろうなと思います。
KANAMI:BAND-MAIDをレコードで聴くオフ会みたいなのをやったら楽しいんじゃないかな。ご主人様・お嬢様に、どこかに集まっていただいて。
SAIKI:私たちが主催するんじゃなくて、みんなに自主的にやってもらうのね?(笑)それはすごく楽しそう!
── どこか音響のいいリスニングルームとか、ロックバー的なお店に集まって聴くのも楽しそうですね。話は尽きないところですが、皆さんの楽しいレコード生活がこの先もずっと続いていくことを願っています。






